久々にドローンを飛ばした。
今までは、実機を目視しながら操作していたが、今回初めて、画面を見ながら遠出してみようと思った。
遠出と言っても、自分の敷地内で、光の具合で目視しにくいし、「点」くらいになってしまうので、それならば、画面を見ながら操作した方がやりやすいのではないかと思ったのだ。
早速、飛ばしてみる。
この日は、晴れていて、南に向かうドローンは、逆光によってすぐに目視しづらくなってしまった。
画面も、明るすぎて見えにくいので影に入って操作する。
上昇し、前方に進んでいく。
しばらくすると、電波の届きが悪くなってきた。
多少画面が乱れる。
これはいかんと思い、影から出て電波の届きそうな位置に向かう。
ドローンのある位置は、分かるが、逆光で目視できないし、画面が止まってしまった。
飛んでいる音だけが微かに聞こえる。
一度止まった画面が、何をやっても戻ってこない。
これはヤバいと思い、HOMEボタン(離陸地点に自動的に帰ってくる機能)を押すが、、、、反応なし。
まずい!
このままでは、池か森の中に落下してしまう。
池の土手なら、視界が開けているので、電波が届きやすいし目視できる可能性もあるので、そこまで急ぐ。
池の土手に行きながらもHOMEボタンを度々押す。
一瞬でも、HOMEボタンを押した電波が届きさえすれば、帰ってくる。
土手に着くと、どうやら電波が届いたようで「HOMEボタンが押されました」と音声が出た。
「よかった」
今度は、すぐに離陸地点に戻る。
HOMEボタンで離陸地点に戻ってくると言っても、ぴったり同じ位置に戻るわけではなく、十メートル程度の誤差がある。
開けている場所なら問題ないが、坂があったり、建物があったり、丸太が転がっていたりと、いろんなものがあり無事に着陸できる場所は限られている。
ゼェゼェ言いながら坂を上り、ようやくたどり着くと、ドローンは、ガレージの屋根の上でホバリングしていた。
「エライ!」
無闇に着陸せず、バッテリーが保つ限界までホバリングを続けるようになっているのだろう。
これなら、へんな場所に着陸することはない。
本当に、よく考えられている。
屋根の上から、ドローンを下に下ろす操作をして、無事、帰還した。
今では、誰もが簡単に操作できるようになったドローンだが、その画期的な機能が、自動的にホバリングをすると言うものだ。
ドローン登場以前にも、ラジコンヘリコプターがあったが、風に煽られながら、その場にとどまるように操作するのは至難の技で、とても、素人には操作できるものではなかった。
それが、コンピューター制御によって、勝手にホバリングをするようになった事で、誰でも操作が出来るようになったのだ。
これは、カメラの世界で言えば、オートフォーカスや自動露出機能が付いた時と同じくらい画期的な事だ。
僕が、高校生の時、オートフォーカスが出た。
瞬時にピントを合わせると言うことがとても難しかったし、肉眼でモノを見て露出を決めるのも大変だったものが、どちらもカメラが一瞬でやってくれるようになった。
それによって、素人が一眼レフを持てるようになったのだ。
ドローンも、ホバリング技術によって素人が操作できるようになったが、GPSによって離陸地点を記録し、勝手に帰ってくるHOME機能は本当に素晴らしいことを実感した。
今回は、HOMEボタンの電波が届いたが、HOMEボタンを押さなくても、バッテリーが少なくなってくれば、帰れるだけのバッテリー残量を残し、勝手にHOMEに戻ってくることになっている。
4年前に、僕がこの山に来た時、同じ部落に住むイチローさんが、ドローンを無くしたと言う話をしていた。
4年前では、まだHOMEボタンや自動的に帰還する機能がなかったのか定かではないが、今のドローンなら、きっと、無くしてしまうことがないだろう。
現在、すでに中国で開発されているようだが、人が乗ることができるドローンがある。
GPSによって自動的に動くことができるのであれば、ドローンの自動運転も容易かもしれない。
車だと、道路に沿って走らなければならないが、空は広い。
その上、上下にも自由に行けることを思うと、他のドローンにぶつかる可能性はかなり低い。
問題は、鳥や細くて認識しづらい高圧線などくらい。
そうした問題をクリアでき、落ちなければ車よりも安全な乗り物になる。
山に住むものとしては、乗用のドローンは、とてつもなく便利だ。
日本では、なかなか許可されないだろうが、せめて生きている間に実現してほしいものだ。