トウガラシを収穫した

1坪の我が家の畑に成った、トウガラシが赤くなってきたので収穫した。

量からすると、買えば、50円ってところだろうか。
そう思うと、まったく収穫できていないのも同然なほど少ない。
しかし、このほんの少しで、市場価値50円にしかならないトウガラシは、とても大きなことを教えてくれた。
それは

“自分が育てた”と言う経験を得ることができたこと

である。
トウガラシというものだけを見ると、たったの50円の価値しかないが、経験(エクスペリエンス)で考えると、このトウガラシの価値は、まさにプライスレスであると言える。

今までも、いろんなものを育ててきたし、収穫もしてきたのだが、今日、このトウガラシを収穫しているときに、このことを強く感じた。

そして、もう一つ感じていること、それは、このトウガラシは、完全な無農薬・有機栽培によって育てられているということだ。
東京にいるときは、スーパーに買い物に行くと『無農薬・有機栽培コーナー』というところがあった。
価格は、そのほかの野菜に比べたら俄然高い。

しかし、今までは、無農薬・有機栽培がなぜ高いのか?ということは、薄っすらとはわかっていたが、明確にはわかりようがなかった。
だが、このど田舎というか山に来て2年半で、なぜ無農薬・有機栽培が高いか?というよりも、なぜ、無農薬・有機栽培が、栽培困難か?ということがわかってきた。

農薬や化学合成肥料がまだ普及していない時代には、無農薬・有機栽培が当たり前の栽培方法であったのだろうが、その当時、きっと、収穫できる量も少なく、野菜の大きさも小さかったのではないかと思う。

だが、それが普通であるわけだから、少ないとか小さいとか思いようがない。
しかし、農薬が出てからは、虫に食われることのない野菜ができ、化学肥料を使えば、野菜はぐんぐん育って大きくなり、収穫量は増え、連続して栽培しても大丈夫と言うように、とんでもなく便利になったのだ。

だが、あえて、そんな時代に、農薬を使わず、化学合成肥料も使わないで、一から土を作って野菜を栽培しようなどと言うのは、本来、無謀な挑戦であると言うことがわかった。
それでも、やっぱり、農薬はもちろん、化学合成肥料も使わないでやりたいのである。

そうしたことが理解できた後に、有機栽培によって収穫できたこのトウガラシは、本当に貴重な存在なのだ。

実際のところ、完全無農薬・有機栽培の野菜など、ほとんど売っていない。
『減農薬』と書いてあれば、なんとなく良さそうに感じるし『有機栽培』と書いてあれば、農薬の類は使っていないのだろうと勝手に解釈しているが、どちらも農薬は使っているし、減農薬と言うだけなら、化学合成肥料は当然使用しているのだ。

どんなに巷に豊富で色も形も良く、値段も手頃な野菜が並んでいても、やっぱり自分の手で育てた、正真正銘の無農薬・有機栽培野菜が一番なのである。

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