ブーーーーーーン、ブーーーーーーン、虫の飛ぶ音が激しくなってきた。まず、現れたのはクマバチ。丸っこいお相撲さんのような体に羽がついていて、いかにも重そうな巨体を、超高速で動かす羽で宙に浮かして飛んでいる。体重が重いのか、このクマバチの飛行音が結構な音量なのだ。
約2年前。山を探していた時に、栃木の森林公園でバッタリ出会った。目の前から、大きな音を出して飛んできた。音が大きい割にはスピードは遅く、まっすぐこちらに向かってきた。僕は、ビビって大きくよけたが、今となっては、クマバチは、何もしないので、普通にすれ違えばいいことが分かるが、当時は、見たことすらなかったので、蜂というだけで、恐れていたのだ。
次に、現れたのが、ブヨだ。多分、2種類のブヨがいて、一つは小さなブヨ、もう一つは、銀バエくらいのサイズのブヨだ。ブヨは、ほとんど姿を捉えることができない。近くに来ると羽音はするのだが、姿を見つけられないのだ。
ここにきた当初、脚を刺されたのだが、何に刺されたのかわからなかった。あとで、そいつがブヨであることがわかった。大きい方のブヨは、地面スレスレを飛んで、脚を狙う。逆に、小さいブヨは、たぶん顔の方を狙う。たぶんというのは、小さくてなかなか捉えきれないからなのだが、耳周辺をやられたことがあるため、たぶん顔を狙っていると思われるのだ。
もう一種類、顔の周りを飛ぶやつらがいる。それが、目に飛び込んでくる小さなハエだ。これを防御するには、ゴーグルやフェイスマスクが必要で、僕は、養蜂用の網あみ麦わら帽子をかぶるようにしている。こいつらは、刺したり、噛んだりしないのだが、目に入ってくるのでとても厄介なやつらである。
こんな風に、少し暖かくなってくると、虫たちがドンドン出てくるのだ。ほとんどは、なんの危害もないが、厄介なやつらは少なからずいる。そいつらから身を守るのも、山暮らし必須条件なのである。