愛媛に来た時、近所に自己紹介をして周っていると、内子町というところに「弓削神社」というのがあるという話を聞いた。
地図を見ると、30kmほど南に行ったところに、弓削神社があったので、行ってみた。
今回は、伝統工法で建築されている野々草設計事務所さん主催の、住宅完成見学会で今治へ行ったついでに、北に足を伸ばして、弓削島へ降り立ったのだ。
とはいえ、そこに何があるわけでもないが、まず、行ってみたのは、ここにもある弓削神社。
弓削島にある弓削神社なのだから、3年前に行った内子町の弓削神社よりも、こちらが本社になるということなのだろう。
海に向かって建つ本殿は、なかなかいい感じである。
神社には、寄付をした人の名前が掘られている石や、本殿の中にも、たくさんの寄付者の名前が刻まれたプレートなどがあるので、弓削島に住む「弓削さん」がいるのかどうかというのをみて回ってみた。
が、弓削さんという苗字の人は一人もいなかった。
弓削島に弓削さんはいないのか?
そんなことを思いながら、ランチのため「島のカフェ」へ向かう。
島のカフェで販売している商品には「弓削」という文字がズラリと並び、弓削を大々的に宣伝している感じが見て取れた。
島の人々は「弓削」という名を大事にしているということがよくわかる。
店員さんに「この島に、弓削さんっていますか?」と聞くと、弓削さんはどうやらいないらしいのだが、日本全国の弓削さんが、この弓削島に来られるということを聞いた。
このカフェにも、何人もの弓削さんが来られているそうだ。
カフェを出て次に出向いたのは、いつもの山友の親類の家。
今回は、山友二人と共にこの弓削島に来ている。
昨日『見た目は都会の年寄りの方が若いが、肉体は田舎の年寄りの方が断然若い』というようなことを書いたが、ここにも、スーパー年寄りがいた。
年齢82歳ということなのだが、どう見ても若い。
見た目というよりもエネルギーが元気なのだ。
まったく年寄り感がない。
さらに、本を書き、陶芸をして、ログハウスに住んでいるおじいさんがいるというので、その人のところへ行ってみた。
こちらは、年齢もうすぐ90歳。
90歳っていうと、老人も老人、くたびれた感満載というのが定番だろうと思っていたのだが、いまだに新しい本を書き、陶芸に勤しんでおり、とても老人とは思えない。
「足が悪くて、、、」とは言っているが、生命の活力に、まったく衰えを感じさせなかった。
さらに、驚くことに、奥さんは神戸にいて、神戸と愛媛のデュアルライフだというのだ。
90歳でデュアルライフって、一体、どういうことなんだ!?
そんなわけで、弓削島には弓削さんは住んでいなかったってこと。
弓削島の人々は「弓削」という名称を大切に思っているであろうこと。
弓削島に引っ越したら、大地主の名家のように思われるであろうこと。
田舎には、やっぱり、スーパー年寄りが満載に存在しているであろうことがわかった。
旅といっても、今回は、ほんの数十キロの場所だったが、なんとなく、小旅行をしたような気分だった。
そして、やはり、旅行の醍醐味の多くは、人を通じてもたらされるであろうことも、今回実感した。
実は、ここに来て3年半が経ち、ボチボチ、近場に小旅行にでも出かけてみたいというように思っていたところだったのだ。
これをきっかけに、いろんな場所へ、ご近所の旅に出かけてみたいと思う。