姿勢というのは、基本中の基本であることは、だれでも知っているけれど、実際、教わったことのない人がほとんどだろうと思う。
人間は、生まれてしばらくすると、勝手に二本足で立つことが出来るようになる。
この、二本足で立つことが、「当たり前」の能力だと思っている人間は、二本足で立つことが、動物としていかに難しいかを感じることはない。
しかし、人間は、動物の中でも、ヒョロヒョロとした体系をしており、それでいて、二本足で立つので、縦にひょろりと長い格好になり、非常に不安定な立ち方をしている。
それなのに、二本足で平然と立つことが出来るのは、バランスが良いと言うことも一理あるが、それ以上に、体の質量に対して筋肉が発達していることに特徴がある。
この筋肉によって、二本足で立つことが出来、歩くことが出来るのだ。
だが、実は、このことが姿勢を悪くしてしまう原因でもある。
筋肉で支えることができるため、バランスを崩していても大丈夫だ。例えば、ほとんどの人が、片足立ちでも立てるし、体を大きく傾けても立っていられるだろう。
そのため、姿勢が悪く、バランスが崩れている状態でも、立つことが出来るため、姿勢を良くしなければならないという意識にならないまま、大人になってしまい、それが、定着してしまう。
そして、姿勢について、ヨガ教室やウォーキング教室などでも教えるが、ほとんどは、簡易的なもので「上からつられているように」「胸を張って」「壁に背中を付けてまっすぐになるように」など、その場では出来るが、日常生活の中で、常に行えるような姿勢の取り方を教えるわけではないし、教える方も知らないというのが現状だろう。
私の場合は、ウェディングやポートレート撮影の際、被写体が完全に止まって撮ると言うことはなく、常に、動いてもらって撮影をしていく。
そのため、一般的に言われている上記のような姿勢の取り方では、妙に不自然になってしまったり、固くなってしまったり、動いたときには結局バランスを崩して無意味だったりするため、動いていても、保たれる良い姿勢のポイントとやり方を探してきた。
そこで、いくつかのポイントを発見した。
姿勢の悪い人の特徴というのは、ほとんどの人が同じで、背中が曲がっている。
これは、誰でも分かると思うが、それと同時に、下腹が前に出ている。
そして、膝が曲がり気味、あごが上がり気味という見た目の特徴がある。
これらを、逆にしてあげればいいだけの話なのだが、そうすると、こうなる。
背中を反らして、腹をへこませ、膝を伸ばして、あごを下げる。
しかし、これだけでは、なかなか、うまくいかないものだ。
そこで、意識する部位を少し変えてみる。
背中の反対側は胸なので、胸を意識する。なので、胸を張るというのは正しいが、私の経験上、胸を張ると言うと後ろに反り返ってしまう人が多く、重心が後ろに傾いてしまうため、「胸を前に出す」ようにと指導している。
次は、下腹。下腹の反対にはおしりがあるので、おしりは、上に上げるように意識する。
おしりの筋肉が弱くなってしまっていると、物理的には上がらないかもしれないが、上げる意識をすることで、仙骨(尾てい骨)の位置が整う。
そして、よく言われる「上に引っ張られるように」これは、わかりやすいが、少し付け加えるとするならば、「引っ張られる」というと他力のように感じるため、やはり、自分から上に伸びる方が前向きかもしれない。
「頭から上に引き上げるように」するほうがいいが、一般的には「上に引っ張られる」というほうがわかりやすいだろう。
あごは、姿勢が良くなれば、必然的に下がってくるので、特に意識する必要はない。
これを、簡単に行う方法をお教えしよう。
と、言っても、この手法は、ウォーキングドクターとして有名な、デューク更家さんが考案した「仙骨の立て方」がわかりやすく、やりやすいので、それを書いておく。
1.両足のかかとをつけ、つま先を少し開く
2.両手を膝につき、膝を広げる
3.頭をおこし、背中が反る形を取る
4.そのまま、起き上がってくる。その際、膝に置いた手は脚に添えながら起き上がる
5.両手を横に置き、完成
やってみると分かるが、これは、バレエのプリエと同じだ。
バレエなど、スポーツや専門分野の中では、開発されていることでも、なかなか、一般人の知るところにはならないし、一般人が出来るような簡易な教え方が開発されなかったり、普及しなかったりするが、このプリエは、非常に簡単で姿勢が整う。
立ち姿の姿勢が整っても、そこから、動いてしまうと、すぐに崩れてしまうが、これを、動いていても意識出来るようにするのが、上記のポイントになる。
気にかけるポイントは、「胸」と「おしり」だ。
女性であれば、女性らしさをより強調させるように、胸を前に出し、おしりを上げる。
自分が、スタイル抜群の女性になっていることを意識して行動することだ。
美人と言われる人の中で、姿勢が悪いという人が思い当たらないように、人は、元々持つ顔やスタイルの善し悪しだけではなく、姿勢や歩き方などの行動が、外見的な評価にも繋がっていることを覚えておきたい。
男性は、胸を開いて、肩幅を大きく見せ、ラテン系の若い男性のように、プリッと上がったヒップを意識しよう。
さらに、中年以降の男性は、おなかも意識して、腹筋をぎゅっと締めておきたい。
男女ともに、どんな時でも、「人に見られている」という意識を持って、良い姿勢を保とうとするといい。
良い姿勢は、健康のためというのが世の中で、第一に言われることがかもしれないが、私は、良い姿勢は、まず第一にモテるためだと思っている。
異性に持てるだけでなく、同性にも、老若男女問わず、好感度の良い自分になるための、第一歩であると考えている。
常に、胸とおしりと他人の視線を意識して、日常を送ってみてほしい。
-----