昨日、カレヤン(Porsche911)を近所の車屋さんにオイル交換をしてもらうために持って行った。
「中でお待ちくださーい」と言われたので、建物の中に入ると、そこに「松山の新店ランチ特集」というような雑誌があったので見入ってしまった。
時間よりも早めに着いたため、代車の用意をしてくれているのか?と、思って、さらさらと雑誌を見ていると、なかなか呼びにこない。
ということは、すでにオイル交換を始めていて、終わるまで待つということかと思い、ゆっくりと雑誌を見始めた。
松山に来て思ったことの一つに、
店の数がすごく多い
ということがある。
一つの理由に、大規模ショッピングセンターなどが、松山市にはないということ。
聞いたところによると、大規模店舗に反対したことで、松山市内には作られず、近隣の市に作られたとのこと。
確かに、松山ではなく、両隣の市に、一つづつ大型のショッピングセンターがある。
そのため、市街地の活気は保たれ、地方都市によくある、ドーナツ化現象にならなかったようだ。
ドーナツ化現象にならなかったことのもう一つの理由に、僕が実感したのが、至るところに平置きの駐車場があるということ。
空き地の多くが、平置き駐車場になり、駐車料金も激安。
市街地でも、1時間100円。観光地に近いと30分100円。少し離れれば90分100円という具合。
これなら、気楽に車で行って、買い物でも、食事でも、観光も楽しめる。
ちなみに、僕の育った浜松市を例に挙げてみる。
都市の規模は、松山とまったく同じで、合併前人口が50万人。
現在の松山市が、51万人。
気候は温暖、周辺地域はみかんの栽培が盛んという点でも同じ。
山があり、海があり、浜松の場合は浜名湖という湖もあるけど。
さらに、「松」繋がり。
浜松は「浜」に「松」がある。
その名の通り、海岸線一帯に、防風・防砂林として松が植えられている。
東海道の松並木もある。
松山は、「山」に「松」がある。
とはいえ、現在では、多くの松が枯れてしまったが、僕の住む山も、少し前までは、赤松で覆われていたと聞いた。
そのため、松茸取り放題だったそうだ。
そんな、同じような都市に、偶然にも住むことになったのだが、大きな違いが両都市にはあった。
浜松は、言わずと知れた、国内屈指の工業地帯である。
スズキ、ホンダ、ヤマハなど、そうそうたるメーカーの工場が立ち並ぶ。
市街地は、僕が住んでいた時は活気があったが、それでも、徐々に衰退していくのが見てとれた。
バブル崩壊後、マルイの閉店作業のバイトに行っていたのを思い出す。
浜松は、近代化しようとしていた。
そのため、駅のすぐ横にアクトシティ、アクトタワーを建設。
アクトタワーは、当時、国内でも4番目に高いビルと言われていた。
その中には、HOTELオオクラが入った。
松山のように、空き地を平置き駐車場にはせず、空き地は空き地のままというのが目立っていた。
ただ、当時は、土地の所有者が気楽に、空き地を駐車場にする仕組みがなかっただけのせいもあるが、もう一つの問題は、駐車料金の高さにあった。
今、現在はわからないが、当時、30年前で、駐車料金は、確か最初の1時間が300円、その後30分ごとに150円だったように思う。
一回駐車して300円というのは、あまり気楽に行ける金額ではない。
ほんの少し買い物をしようというだけで、300円を払わなくてはならない。
路上に作られたパーキングメーターも、1時間300円であるから、市街地に車で出向こうという人が少ないのは当然だった。
車を生産している都市なのに、車利用が不便だというのは不思議だ。
唯一、駐車料金がかからないのが、デパートの駐車場で、それも、もちろん買い物をしなければ有料である。
最近では、デパートが発行したカードを持っていれば、1時間程度無料で停められるようになったが、当時、そんなカードを発行していたのは、マルイのクレジットカードくらいではなかったか?のちに、西武がセゾンを発行したり・・・それはさておき。
そういうわけで、結果として、浜松に4つあったデパートは、1つになった。
市街地は、閑散として、新幹線で降り立つ人くらいしか目立った人の集団はない。
あれっ?今回の記事、こんな内容だったっけ?
いや、ランチが1,000円って話だった。
そうそう、車屋さんで見ていた雑誌のところに戻ろう。
そこに掲載されていた店を見ていると、ランチ1,200円、1,500円、1,800円という数字が当たり前のように並んでいる。
ランチに1,000円以上支払いなんていうのは、非常に特別なことだと思っていたが、今や、普通の定食でさえ1,000円を超える時代になっているのか?
デフレと言われながら、物やサービスの値段が上がっているとは思っていたが、とうとう、ランチも1,000円を当たり前に超えてくる時代になったのかと実感した。
ここまでくると、確実にインフレが進行していると考えて間違いはない。
今まで、1,000円が1,000円の価値だったものが、1,000円が800円、600円と価値を下げてくる。
コロナショックによってダメージを受けた経済に対し、世界中がお金を摺りまくってばら撒いている。
これは、今までの経済対策レベルとは比較にならないほど大規模だし、リーマンショックの時よりも巨大だ。
これで、インフレにならない方がおかしいだろう。
ダウが30,000ドルを付けるもの、日経平均が26,000円を超えるのも、もはや当たり前の時代だということだ。
それが、ランチ1,000円超えという現象が示しているのである。
ランチの1,000円と世界経済の先行きが同じであるはずがないと考える人たちもいるだろうが、世界経済というのは、庶民の小さな経済の重なりの上に成り立っているものなのだ。
ランチの価格は、店主が勝手に適当に決めているわけではない。
そこには、野菜の値段、肉の値段、香辛料の値段が絡み、国内生産品だけでなく、海外からの輸入品も多く含まれている。
まさに、世界の縮図と言っても言い過ぎではない。
そのコストを計算して、弾き出された価格が、ランチ1,000円超えということなのだろう。
世界は変わる。
すでに変わっているのだ。