初霜が降り、大洲へ行き、穴場の寿司屋で旨い寿司を食う

昨日の朝、畑に霜が降りていた。
12月になった途端に、冬を迎えた気分だ。

1年が12ヶ月であること、1月が大体30日であること、1日が24時間で、1時間が60分、1分が60秒。
これらは、誰かが決めたことなんだろうけど、結構、きっちり、自然の摂理に沿っている。
まあ、それら自然の状況を見て決めたのだろうけど、なんだか、毎日、毎時、毎分見ているカレンダーや時計の中に、とてつもない、この世の、大自然の、宇宙の法則のようなものが潜んでいると思うと、カレンダーや時計が、なんだか、秘密を解き明かす鍵のようなものにも感じてくる。

ここから20日間、冬至に向かって、どんどん日が短くなっていく。
ただでさえ、日の短い冬の山。
朝10時に、ようやく朝日が顔を出したと思ったら、午後2時には、木の影に隠れる。
これだけ日照時間が短いと、体は、太陽エネルギーを吸収できずに、なんだか元気がなくなってくるように感じてしまう。

それは、さておき、朝から大洲へ向かった。
今回は、FAN(犬)も一緒にドライブである。
とはいえ、よくある、窓から顔を出している、楽しそうな犬の様子ではなく、助手席の足元にうずくまり、ちっとも楽しそうではないが・・・

大洲の市街地へは初めて行った。
大洲といえば、西日本豪雨によって、川が氾濫し、町中が水浸しになってしまった場所。
全国的にも、ダムの無謀な放流による人災ってことで、かなり有名になったのではないだろうか。

大洲市街に入ると見えてくるのは、まあ、どこの地方も一緒だけど、チェーン店の看板ばかり。
この街も、チェーン店に占拠されている。
その中でも、地元の穴場な寿司屋に連れて行ってもらったのだが、これが、大当たり。
その話題は、また後ほど。

大洲に来た理由は、山友のお宅に招待されたから。
山へは何度か言っているのだけど、市街にあるお宅へ行ったのは初。
現代の、即席で作られる住宅とは違う、無垢の木と土壁と、レトロな模様のガラスで出来たお宅だ。

僕自身も当たり前になった、今採れ野菜を味わうために、歩いて10分ほどの畑へ向かい、野菜を収穫する。
それらを使った料理を味わう。
僕は、何もしないで座っているだけだったけどね。

ランチに、穴場のお寿司屋さんへいく予定だったが、夜に行く事になった。
ぱっと見は、知らなかったら、絶対に入れない感じの店構え。
やっぱり、ほとんどの人たちは、チェーンの回転寿司へ行ってしまうだろう。

大洲の寿司処おさき

のれんを潜ると、昔ながらの小さなお寿司やさん。
カウンターは八席。
あとは、座敷が四つだろうか?

夜の小さな寿司屋に、客は少なかった。
僕たちは、座敷に上がり、握り、吸い物、茶碗蒸しをオーダー。
どれも、回転寿司よりも、少し値がいい程度。

握りが来て、寿司を口に入れると・・・
アニメ『美味しんぼ』の寿司の回を思い起こさせた。

美味しんぼでは、本当に旨い寿司のことをこう言っていた。

「シャリの間に適度に空気が含まれており、口に入れるとホロリと崩れ、ネタを混ざり合う」

と、これと同じ現象が、口の中で起こっていた。
「おいおい、美味しんぼで言ってたの、そのまんまじゃん」そう思ったほどだ。

握りの腕の良さという技術面に目が向くが、吸い物や茶碗蒸しを味わうことで感じたのは、丁寧さだ。
とても、丁寧に料理を作っているという印象を持った。

とんでもない高級な素材を仕入れて作るというわけではないだろうが、一般的な材料を使用していたとしても、それらを丁寧に扱い、丁寧に調理しているということを、食べて感じることができるような店だった。

東京で、高額な代金を支払えば、最高の材料と最高の腕と最高の手間と時間、そして、もちろん、そうしたところで働いている人々の素晴らしい料理にかける心が、一品一品を最高のものへと引き上げる。
そして、当然、この世のものとは思えぬほどの、至福の時を提供してくれる。
そうした店も、僕は好きだ。

しかし、毎日のように、行けるわけではないし、行こうとも思わない。
毎日のように行きたいと思える店は、やはり、素朴で、気取らず、特別な材料でもなく、それでいて、丁寧に仕事をされた料理というよりもメシと言えるようなものを出す店だろう。

寿司屋というと敷居が高さそうに思えるが、料金はかなり手頃で、毎日でも行けるほどの価格だ。
正直、安すぎて採算を心配してしまうほどである。
まさに、大洲の大穴場と言っていい店だった。

この記事を書いている途中、またまた、美味しんぼを見てしまったのだが、ちょうど「もてなしの心」という回。
何度か、美味しんぼは見ているので、この回の内容は見る前から分かってはいたのだが、この回が、僕の中で、最も感動させる回の一つであるのだ。

この回は、ご飯と味噌汁という、基本中の基本を作るのだが、その中で、いかに心の底からもてなすか?
そして、そのもてなしをどう表現しているか?という内容。
アニメとはいえ、この考えが出てくる事に、僕は、とても感動した。
米は、一粒一粒つぶを揃え、味噌汁の具になるしじみも煮過ぎ、煮足りないものが出ないように、しじみの大きさを合わせていくという、とてつもない時間と根気が必要な作業を行う事で、材料が同じでも、美味しさに差が出るということが語られていた。

こうしたことは、料理だけでなく、僕がやっていた写真撮影にも言えたし、どんな事にも言える事だ。
この「もてなしの心」をしっかりと持っていれば、どんなものでも素晴らしいものができるし、どんなことでも、成功に導かれると僕は思う。

また、昨日の寿司が食べたくなってきてしまった。

P.S
ちなみに、TOPの写真は、山友のお宅ではなく、大洲の名所「臥龍山荘」である。

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