僕が使っている包丁のほとんどは、20歳の時に買ったもの。
なので、もう27年経っている。
それでも、買った当時は、ステンレス包丁の中では、まあまあの値段のものだった。
一応、J.A.HENCKELSである。
ずっと以前は、簡単に遂げるという売り文句の『包丁シャープナー』を使ってた。
確かに、研げるには研げる。
切れ味も、かなり鋭くなったこともある。
しかし、きれいに均等に研ぐのは難しかった。
やりすぎて、刃が欠けてしまったことが何度もあったし、研ぎむらも大きかった。
そこで、少し前までは、研ぎ屋さんに出していた。
郵便局のレターパックに詰め込んで送れば、数日で研がれて返却されてくる。
早いし、安いし、かなり重宝していた。
包丁に寿命はあるのか?
しかし、研ぎ屋さんに依頼しなくなった出来事があった。
数年前、ここ四国にてお遍路に回っている時、高知のスーパーで柑橘果物を買ったのだが、これが手で剥けない。
仕方なく、その辺にあった、刃物屋さんに入りペティーナイフを買った。
このペティーナイフが、僕の包丁への意識を変えた。
このナイフ、めちゃめちゃ切れ味が良かったのだ。
東京に戻った僕は、自分が使っていた包丁とのあまりの差に驚いた。
確かに、うちの包丁は古い。
とはいえ、HENCKELSだし、ちゃんと研ぎに出しているし、ここまで差を感じるなんておかしい。
「そうか、研ぎに出せば切れ味は復活するだろう」
そう思い、早速、研ぎに出した。
研がれた包丁が戻ってきて、切れ味を比べると・・・
やっぱり、高知で買ったナイフの方がいい
う〜ん、寿命なのかぁ?
包丁に、寿命なんてあるんだろうか?とも思いながらも、新しい包丁を買わないといけないんだと思えてきた。
グラインダーでは、結局、ダメなんだ
包丁の研ぎに出すと、砥石を使って手で研ぐのではなく、グラインダーという砥石のようなものが回転して研ぐ機械を使って行う。
それでも、商売でやっているんだから、確実だろうと信じていた。
そのため、うちの包丁は、もう寿命なんだと諦めていたのだ。
なので、ことあるごとに『あー、包丁買わなきゃなぁ』と思い、ネットで買おうか、いや、刃物屋さんに直接行って買った方がいいだろうか?などと悩んでいた。
なんせ、高知で買ったペティーナイフの切れ味がキレッキレだったために、新しく買っても、高知のペティーナイフ以下だったら悲しい。
そんなら高知で買ったらいいじゃないか?
とも思うが、もう、どこの店で買ったのかもわからないし、高知なら良いってものでもない。
実は、一本買っているのだが・・・
山に来てから、山仕事の刃物系はネットショップの「ほんまもん」というところで買っている。
ここは、刃物の中でも一流と言われる高知産のものばかりを扱っているところで、ホームセンターのものとは比較にならないレベルなので、いつもここで買う。
実は、包丁も一本買っている。
それは、奥さんの実家に置いておくように買ったのだ。
が
こいつが切れない。
まあ、僕も、安いのを買ってしまったわけなので、仕方がないとあきらめていたのだが、今回、こいつの切れ味が悪い原因が、包丁のせいではなく、結局、量産品は、
グラインダーで研がれているため切れ味が悪い
のだと思ったのである。
チェーンソーの刃も、新品よりも、自分で研いだ方がキレッキレらしい
実は、数日前に、木こりの方々とBBQをした。
その時に出ていた話題の一つに「チェーンソーの刃は、新品だからと言って切れるわけじゃない」と言っているのを聞いた。
この時に聞いた話と、僕が包丁へ思っていた思いが一緒だということがわかった。
チェーンソーの刃も、新品は機械研ぎのため、丁寧に細かく研がれているわけではなく、どのチェーンであっても、機械によって一定に研がれており、手で研いだ方が、細かく丁寧に砥げ、結果、キレッキレになるというわけなのだ。
新しい包丁を買おうと思ったが、買ったのは砥石
今までも、何度となく新しい包丁を買おうと思った。
今度は、ステンレスではなく鋼の包丁の方がいいだろうか?とか。
いやいや、手入れが大変だから、やっぱりステンレスか?
それとも、複合素材?
それもいいけど、すぐ切れなくなるというレビューもあり、迷いに迷って、いつも結局買わずじまい。
今回も、ほとんど同じパターンで悩んでいた。
しかし、そこに『おすすめ商品』として、砥石が出てきた。
考えてみれば、自分で包丁を研いだのは、包丁シャープナー以来やっていない。
自分で研いで、ちゃんと切れるようになるのだろうか?
レビューを見てみると「新品の時よりも切れるようになりましたー」なんていうのもあり、どれも、高評価が付いている。
う〜ん、どうだかわからないけど、中国製の砥石商品がたくさん出ていて、どれも安い。
もしも、包丁をダメにしてしまっても、元々、買い換えるつもりだし、砥石自体も安いし・・・
ものは試しだ!
ってことで買ってみた。
最近の、素人向け砥石は、荒い砥石と細かい仕上げ用の砥石がくっついている便利商品。
さらに、動かないようにする台や、包丁の角度を一定に保つ小物などもセットになっている。
ってことで、早速研いでみる。
説明書によると、荒い方で20回、細い方は回数は書いていないけど、まあ10回くらいでいいかな?
角度を保つアイテムのおかげで、角度は気にしなくていい。
『シャコシャコ、シャコシャコ』
すべての包丁を研ぎ終わった。
高知で買ったペティーナイフも同じように研いだ。
そして、結果はどうだったか。
残っていた大根を切ってみる。
『ス〜ッ』
おっ?おおっ!
なんと、包丁が下に勝手に下がっていくというのは言い過ぎだが、そのくらい切れる。
今までに経験したことがないほど、キレッキレになってる。
すべての包丁でやってると、どれもキレッキレ。
高知のナイフも同じ切れ味である。
ってことは、高知のナイフが良くて、今までの包丁がダメだっったんじゃなく、どれも同じ程度のスペックだってことだ。
ただ、グラインダーで研いだ包丁はダメで、高知で買ったものは、丁寧に研がれているものを買ったということがわかった。
新しい包丁買わなくて良かった〜
結局は
“研ぎ”
の問題だった。
もちろん、いい包丁は、もっと切れ味や使い勝手が良いだろうが、それはさておいて、包丁に寿命が来たわけではなかった。
そして、安物の中国製の砥石でも、ちゃんとキレッキレになるってことも。
こちらももちろん、高級品で砥げば、もっとすごいことになるというのは、そうだろうが、それも置いておいて。
結果、
砥石を買って良かったー!
ってことである。
研ぐのは簡単なんで、包丁の切れが悪いと思っている一般家庭の一般的なステンレスの包丁を使っている方には、オススメじゃ!