以前から、海外に行くときに、飛行機の中で『Bose QuietComfort 3 Acoustic Noise Cancelling headphones』を使っていた。
その時は、それでも、ノイズキャンセリング機能というものの凄さを感じていた。
飛行機のエンジン音が明らかに小さくなり、快適な旅を始めることができていたからだ。
山に住み始めてからは、とんと海外には興味がなくなり、さらに、国内観光はもちろん、旅自体に興味がなくなった。
なぜかと考えてみたら、今が、旅の途中であるからだと気がついたからだ。
そう、外向きには『移住』だが、実際には、僕は、長い長い旅をしている。
それが、もう、三年半にもなったという具合である。
そんなわけで、大きなスーツケースと共に、倉庫にしまったままになっていた『Bose QuietComfort 3』
今回、久々に、引っ張り出してきた。
それは、
『Apple Air Pods Pro』を買ったからである
?
海外旅行に行かなくなったのに、なぜ、今更、ノイズキャンセリングイヤフォンが必要なのか?
それは、東京に住んでいるときには、大して気にも留めなかった、施設内のアナウンスなどの雑音が、あまりにうるさく感じるようになってしまったためだ。
山にいると、ほとんど、音はない。
しかし、東京では、24時間、車の音が聞こえている。
電車に乗れば、ガタンゴトンという音と共に、大きな音でアナウンスと警笛と発射音などの音楽が、混ざり合って延々と音を吐き出している。
どこに行っても、大型店に入れば、音楽とアナウンスが途切れることはない。
要するに、東京にいると、常に何かの音が、比較的大きな音で、延々と耳に入ってくる。
そうなると、脳の側で、音量を調整する。
そうすれば、延々と鳴り続ける音を、脳の機能で小さくできるから、気にならなくなってくる。
これが、いわゆる『慣れ』という現象だ。
問題のゴルフ練習場の、周辺住民も、ゴルフ練習場の、強い光に慣れてしまって、夜の暗さなど、とうの昔に忘れてしまっているのだろう。
慣れというのは、良い面ももちろんあるし、慣れなければ、気が狂ってしまうかもしれない。
自己防衛の一つであるとも言える。
しかし、慣れてしまえば、終わってしまう。
それ以上に、改善することもなければ、新しい何かにチャレンジすることもなくなる。
ただただ、日々を過ごすのみである。
話は戻って、僕の耳は、脳によって音量を小さくされなくなってしまった。
なので、他の人たちが気にならない音が、ダイレクトに大音量で脳に侵入してくる。
山に来て一年ほどは、まだ、脳がTOKYO VERSIONだったため、気にならなかったが、だんだんと気になり始め、二年目には、空港のアナウンスから始まり、飛行機内のアナウンス、電車のアナウンス、店の音楽とアナウンスが、頭の中に響くようになった。
時に、気持ちが悪くなるほどだ。
そこで、僕は、常に耳栓をするようになった。
しかし、人のことを気にしない僕だが、やはり、緑色の物体が耳に入っている光景を人に見られるのは、やや気になっていた。
それが、空港や飛行機内、電車内で座っている時などはまだしも、普通に、街を歩いているときにも耳栓をしているのは、どうも、こっちが気になって仕方がなかったし、耳栓は、本当に、何も聞こえない。
なので、付けたり、取ったりが面倒だった。
そこで、ノイズキャンセリングイヤフォンを検討したのだ。
BOSEがあるじゃないか?
と、思うが、実際、何か音楽などを聞こうと思ったとき、すでに、イヤフォンジャックの定番、ステレオミニプラグの差込口がiPhoneに付いていないのである。
そのため、BOSEも、以前のiPhoneに付属していたイヤフォンも使えない。(変換プラグが1,500円程度で売ってたけど、気づくのが遅かった)
そのため、検討するのは、今や当然となった、Bluetoothイヤフォンである。
ググってみると、ノイズキャンセリング機能付きのものは、安いものから、高いものまで、とんでもなくたくさんあった。
安いのでは、数千円、高いものの一つが、Air Pods Proの三万円である。
さて、どうするか?
迷った末、Air Pods Proを買うことにした。
年始の初売りで、三千円クーポン付きで買った。
なぜ、Air Pods Proを選んだのかというと、選ぶきっかけとなった出来事は、iPhoneSEから、AndroidのSONY Xperiaを買った経験からである。
スペックを見れば悪くないし、見た目もいい、値段も安いわけではない。
実際に使ってみるまでは、iPhoneもAndroidも違いはわからない。
しかし、使ってみれば、一目瞭然なほど、顕著に、その違いがわかった。
と、その程度ではなく、iPhoneが『普通』だとすれば、Xperiaは、まったく使い物にならなかったほどだ。
そんなわけで、イヤフォン選びの基準は、「この現象と同じだとしたら、Air Pods Pro一択しかない」
という判断だった。
手元に来て、早速見てみる。
一応、説明書が付いているので、その通りに操作してみる。
まずは、Air Pods Proをケースから出して、iPhoneのBluetoothを開くと、そこにはAir Pods Proの表示があり『接続』をタッチ。
あれっ?もう終わり。
iMacに繋ぐときも、同じようにBluetoothを開いて『接続』をクリックするだけだった。
電源ボタンも何もなく、ケースから取り出し、耳に付ければON、耳から外せばOFF、たったこれだけだ。
ケースは、携帯充電器にもなっているので、ケースに入れておけば勝手に充電される。
そして、驚きだったのが、ノイズキャンセリングの凄さだった。
耳に入れた瞬間に「あれっ?」と思った。
ちょうど、換気扇をブンブンに回していたときだったのだが、なんと、換気扇の音がパッタリと聞こえなくなった。
「BOSEの時、ここまで、音がなくなるほどだったかな?」
そう思い、スーツケースの中からBOSEを取り出してきて比べてみた。
「全然、違う!」
『Bose QuietComfort 3』が、もうずいぶんと古い機種なので、決してAir podsだけがスゴイというわけではないのかもしれないが、僕にとっては衝撃だった。
「本当は換気扇回っていなかったかな?」そう思ってしまったほどだ。
じゃあ、イヤフォンの本来の役目である『音』はどうなんだ?
というと、古いけどBOSEの方がいい。
僕は、昔からバイオリンの音を美しく聴きたいという思いがあった。
とはいえ、クラシックが好きとかいうことではないし、バイオリンに詳しいわけでもない。
ただ、バイオリンの高音がきれいに出るスピーカーに、あまり出会う機会がなく、いつも、高音に嫌な感じを覚えていたのだ。
そのために選んでいたのは、二十年前からBOSEのスピーカーであった。
ただ、一つ不満だったのは、PCスピーカーでは、やはり、バイオリンの音がきれいに出なかったことだ。
今では、PCで音楽を聴くということが当たり前になったが、当時はまだ、CDで聴くというのが主流で、PCスピーカーでの音楽の再現性は重要視されていなかったのかもしれない。
そこで、僕は、B&WのPCスピーカーを買った。
BOSEよりも上位のスピーカーを買うというのは、僕にとって、時計ならロレックスよりも高い時計に、車ならベンツよりも高級車に、カメラならCANONやNIKONではなく、ライカやハッセルブラッドに買い換えるようなものだった。
「あぁ、高級品を買ってしまった・・・」
という、素人丸出し感覚でPCスピーカーを買い替えたのだ。
しかし、さすがに、B&W。
音が、少し良くなった。
やはり、満足するレベルではなかったものの、良くなった。
それはさておき、Air Pods Proは、どうなんだ?
ってことだけど、BOSEの方がいいけど、Air Pods Proも十分。
大体、音楽鑑賞レベルで使うわけではなく、メインは、ノイズキャンセリングなのだから、僕にとっては、音楽の再現性は二の次、三の次、ノイズキャンセリングにプラスして、周辺の雑音を音楽で隠せればいいくらいにしか使わないのだから、十分すぎるほどに十分なのである。
そんなわけで、何を言いたかったかというと、
Air Pods Proのノイズキャンセリングは、凄かった!
ってことである。
だが、どうやら、現在売られている三万円レベルの、ノイズキャンセリングイヤフォンは、どれも、高い能力らしいのだけどね。
それでも、やっぱり、Apple製品との相性を思うと、やっぱ、Air Pods Proでよかったかな。と、思う。