究極の卵に近づいたか?

愛媛に来た当時、スーパーを回って、ちゃんとした食材を売っている店を探した。
その中で、卵は、重要な食材の一つだった。
近隣のスーパーを巡ったが、まともな卵を売っている店は一軒もなかった。

ある時、車で走っていると、養鶏場で直接販売している場所を見つけ、しばらくは、そこで買っていたのだが、のちに、山友が持ってきてくれた、平飼い有精卵がめちゃめちゃ美味しくて、僕も、その卵を買う事にしたのだ。
あまりに美味しいので、養鶏場に行って秘密を探りたくなり訪問した。

そこは、おじさんが一人で運営している小さな山中の養鶏場で、養鶏場としてはとても少ない数の鶏を平飼いで飼育し、配合飼料などは一切利用せず、米糠やクズ米、大豆粕などを調合、発酵させて、鶏に与えていた。
そして、自家栽培で採れた有機野菜も鶏たちの好物だ。

鶏は毎日卵を生むと思っていたが、それは、餌に魚粉が大量に含まれている場合であることを知った。
僕の推測では、動物性のタンパク質を多く摂取させると、その分、卵の生産力が増して、毎日卵を生むという事になるのだろうと思った。

その養鶏場では、鶏の負担と卵の出荷数調整を考慮して、魚粉の量を極力減らし、卵を生む負担を鶏に掛けず、長く鶏に卵を生み続けてもらう方法を取っている。
通常であれば一年半で、卵の生産能力が落ちるため、産業廃棄物としてし殺されてしまうところ、三年間飼い続けている。
しかし、三年もすると、さすがに卵を生む率が下がり、餌代と卵の生産能力に開きが出てきてしまうため、三年を超えた鶏たちは処理される結果となってしまうという。

そこで、三年を経過した鶏たちを引き取ってきたのだ。
うちには、現在、十羽の鶏たちがいる。
卵を産まなくなれば、食肉用としてと思ってもらってきたが、僕が、ほとんど肉を食べないので、結局、いつまでも十羽は元気で生きている。

すでに卵を産まないかと思っていたが、現在、一日四個程度の卵を生んでいる。
同じ鶏が生んでいるのか?二、三日に一個程度、みんなが生んでいるのかは不明だが、とりあえず、卵が生産されているのである。

生まれた卵をすぐ食べるというのは、人生で初体験であった。
それも、平飼いは当然なのだが、配合資料はいろんな薬が入っているので一切与えず、養鶏場から手作りの餌を譲ってもらって与えているのと、そこらへんの草や虫やミミズ、そして、うちで出た残飯を食べて生きている。

ヤギに、とうもろこしと大麦を与えているが、鶏にも与えていたところ、卵が美味しくなくなった。
美味しくない原因は、たぶん、とうもろこしにあるのだろうと思われる。
家畜飼料用のとうもろこしは、普通に考えて、アメリカなどの大規模農場からの輸入品だろう。
そうなると、化学肥料で育ち、農薬にまみれている。

ヤギに与えるのは、食べる餌の1%にも満たないが、鶏の場合、体の小ささを考えると、とうもろこしの比率が高くなってしまっていたのかもしれない。
そんなわけで、鶏には極力とうもろこしを食べさせないようにしたところ、味が良くなってきた。

黄身の色が濃いと栄養分が高いと言われてきたことが、そうではなかったというのが、最近の常識になっている。
黄身の色は食べる餌によって変わってくるらしい。
養鶏場で生まれる卵はレモン色で、平飼いで発酵飼料の卵を販売している他の養鶏場なども、黄身の色がレモン色だという。

しかし、うちの卵は、結構オレンジになっている。
現在、一般的な養鶏場では、黄身の色をオレンジにするために、添加物を使用しているのだが、もちろん、うちには添加物などないし、薬もない。
このオレンジ色になるのは、とうもろこしが原因だと思っていたのだが、とうもろこしを食べさせなくてもオレンジ色になってしまう。なぜだろう?

僕の一つの予想は、太陽光ではないかと思っている。
一般的には、養鶏場の鶏舎には屋根があって、鶏たちは常に屋根の下にいる。
直射日光を浴びることがあまりないのが、黄身の色の薄さの原因の一つではないか?と思っている。
ちなみに、うちの鶏たちは、日中はずっと太陽の光を浴びて過ごしている。

もう一つの予想は、虫やミミズなどの動物性タンパク質である。
養鶏場の場合は、動物性タンパク質の摂取は魚粉からのみだが、うちの場合は、そこらへんの虫やミミズが食べ放題であるから、それらの動物性タンパク質の量が、魚粉の量を越えているのかもしれないと考えている。

白身は、新鮮そのもので、もりもりに盛り上がっているというか、まったく広がらない一つの固体のように存在している。
さらに、初めは「これ大丈夫か?」と心配になったのだが、調べてみると新鮮な証拠だという、白身の濁り。
濁っているのは、炭酸ガスだそうだ。
この炭酸ガスは、徐々に抜けていき、透明になっていくのだということだった。
確かに、生みたて当時の卵は濁っているが、一日後、二日後と日が経つにつれて透明になっていた。

いい卵の象徴としてよく見かける、つまめる黄身は当然として、殻の内側に張っている内膜がやたら固かったり、白身と黄身がまったく分けることができないほどに、強固にくっついていたりして、今まで経験したことのない驚きの卵になってきている。

いづれは、餌は一切やらずに自然の力だけで育った鶏が生む卵を目指しているが、障壁もある。
その一つが、完全に放し飼いにしていると、どこに卵を生んだのかわからないということが起こる。

しばらく前に、朝から完全に放し飼いにして好きにさせていたのだが、その間、どこを探しても卵を見つけることができなかった。
卵を生んでなのかな?と、思ったが、放し飼いをやめて囲いの中に入れておいたら、産卵箱にちゃんと卵があったので、どこか、見つけられない場所に生んでいるということが分かったのだ。

そのため、現在では、午前中は囲いの中に入れておいて、その日の分の卵が生み落とされたのを確認してから、外に放すようにしたのである。
これなら、卵を取り逃すことはなく、今のところうまくいっている。
与える餌も、徐々に減らしており、なるべく、自然界にあるものを食べてもらおうと試みている最中である。

餌代ゼロで、自然の恵みを最高の形で頂く、まさに、究極の卵への道を進んでいるのかもしれないと思っているが、さて、どうなるものか?


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