麓から、約1.5km山を登ると、僕のいる山にたどり着く。
そこからさらに200mほど上までアスファルトが続いており、その先は、未舗装ながら、敷地の頂上まで道がつけてある。
この山道は、20年以上前につけられ、昔は、4WDの軽トラで登って行けたらしいが、現在は、4WDの軽トラはおろか、ジムニーでも登り切ることはできなかった。
軽トラでは、1つ目のカーブですでに曲がり切ることができず、タイヤが空転してしまい進めなかった。
ジムニーでは、ここにきた二人の人にチャレンジしてもらったのだが、2世代前のジムニーでは、三つ目のカーブの先で断念。
1世代前のジムニーは、三つ目のカーブはクリアできたものの、湧水が出ている坂道で滑ってしまい、それ以上登ることはできなかった。
この山道の難点の一つがカーブがきつく、さらに、カーブのところで傾斜がきつくなっているため、かなり上がりにくい。
そのため、今回の整備では、カーブのRを大きくして、大回りしたり、切り返したりできるようにし、さらに、カーブの部分を極力勾配を減らして、回りやすいようにしている。
もう一つの難点が、湧き水が出ている場所。
水が道を流れると、土を流してしまい、残るのは、ゴロゴロとした石ばかりになる。
濡れた石は滑りやすいため、タイヤのグリップが効かなくなってしまう。
さらに、そこが坂であれば余計に難しい。
そこで、湧水はもちろん、雨水も、道を流れて土を流してしまわない工夫が必要になる。
ただ、この山全体が、岩盤で出来ており、石が硬過ぎて削れない場所が多い。
その代わり、地盤としては、これ以上ないほどに強固なので、その点は安心できるが、岩を砕けないと、道を広げることができない。
水を逃すためには、溝を掘るのだが、湧水の場合は、道の脇、山側に溝を掘っていく必要がある。
ただ、湧水は主に、岩盤の隙間から流れ出てくる。
そして、岩盤は硬くて破壊できない。
ってことで、溝が掘れないってことになる。
そんな時は、道の途中途中に、谷側に向けて溝を切っていく。
そうすれば、途中で、水は谷に落ちていく、、、はずである。
西日本豪雨で崩れた場所も修復
山道に続く道の手前に、西日本豪雨で崩れた場所がある。
ここは、軽自動車がギリギリ通れる程度の幅を残して、谷側のアスファルトが崩落してしまった。
ここに、セブン(7トンのユンボ)が通るには、最低でもセブンの横幅2,230mmを確保しなければならない。
ちなみに、軽自動車の横幅は、およそ1,400mmなので、900mm(90cm)も幅を拡張しなければならないのである。
さらに、重さは、軽自動車が1.5トン以下なのに対して、セブンは7トン、4倍以上の重さがある。
そのため、あんまり端は通りたくない。
そう思いながら、西日本豪雨から随分と時が流れたが、いよいよやることにした。
ここを修復しなければ、山道の整備をすることもできないのである。
ってことで、山側をおよそ1m削り、道幅を確保。
すぐ上には、折り返した道があるため、削り過ぎすことはできず、ギリギリの幅を確保した。
ユンボ作業は、面白い(今のところ)
山に来てから買った2トンユンボのクボちゃんでの作業は、削っても削っても、運んでも運んでも、いつまで経っても終わらない、なかなかの修行だったが、それが7トンになったことで、進み具合が大きく変わった。
重量は3.5倍、一度にすくえる土の量は5倍、実際に感じる効率は10倍である。
そのため、作業がサクサク進む。
サクサク進んで、成果が目に見えて現れると、実に気分がいい。
ただ、デカくなって、手に負えない事態になったら、、、と思うと、それまでの2トンのクボちゃんの時と比べると、恐怖も何倍かに増幅された。
まあ、そのうち慣れてくるとは思うが、今のところ、まだまだ怖い。
山道の幅ギリギリ、、、アウトくらい
その恐怖は、今、まさに、この山道の整備で体験している。
それは、この山道を作った際に使ったユンボは、たぶん4トン〜5トンのものだと思われる。
その証拠が、道幅にある。
道幅が、およそ2mで作られていて、2m23cmのセブンでは、山側ギリギリ、隙間が2,3cmで走行しても、谷川にキャタピラが出てしまうほどに狭い。
4〜5トンのユンボの車幅はおよそ2m、それが通れる程度に道がつけてあるのだ。
そのため、20cm以上セブンでは、車体が出てしまうというわけである。
もしも、谷川の土が柔らかく、7トンの車重を支えきれなかったら、、、そう考えると、恐ろしい。
落ちたとしても、途中の木々で引っかかり、真下まで急降下ということはないが、それでも、無傷では終われないだろう。
なので、しっかり、きっちりシートベルトを締めている。
車もそうだが、シートベルトをきっちりしていれば、ひっくり返っても、車のボディが中の乗員を守ってくれる。
ちなみにうちのカレヤン(Porsche911 Cabriolet)は、オープンカーだが、ひっくり返った時には、後部座席の後ろから支えるためのバーが瞬時に飛び出して、乗員が頭を打たずに済むようになっているのだ。
ユンボは、乗用車よりもひっくり返る確率が圧倒的に高いので、キャビンはかなり頑丈に出来ているはずである・・・きっと。
昨日までで、約半分が終わった
この山道の全長は、約650m。
最も困難な場所は、四つのカーブのうちの最初の三つである。
この三つのカーブは、すでに作業を終えた。
残りの難関は、湧水の出ている登り坂である。
前述したが、この場所は、山側が硬い岩盤で出来ているため、簡単には溝を掘れない。
それに、道幅がギリギリのため、山側を削る必要も出てくる可能性もある。
そして、四つ目のカーブの場所は、急斜面の場所のため、山側がかなり高い崖になっている。
この崖を崩していく必要があり、場合によっては、生き埋め、、、とまではいかないだろうが、なかなか厳しい作業になりそうな予感はする。
開通すれば、数分で頂上に到着
なぜ今この山道の整備をしているのかというと、この夏、ヤギたちを頂上にある平地で草を食べさせているため、三日に一度は、山を登り、ヤギを繋いでいるロープの位置を変えている。
7月中旬からなので、もう2ヶ月もこんなことをやっているのだが、さすがに、山登りも飽きてきた。
片道20〜30分かけて登山をして、ロープを掛け替えて、絡まないように草や細木を伐採したりして、山を降りてくると、およそ2時間はかかる。
そこで、行き帰りを車に出来れば、荷物を担ぐ必要もないし、行き帰りの1時間が大幅に短縮できる。
とは言え、道の整備が出来て車で上がれる頃には、頂上の草が乏しくなり、ヤギを下に下ろすことになるかもしれないが、それでも、まあ、必ずやらなければならない時が来るので、必要だと思っている時にやる方が、やる気が出て良いのである。
ってことで、今日も、頑張るぞ!